この記事のポイント
- 製造業での外国人材の労働災害リスク(機械挟まれ・切傷・転倒等)と多言語での伝え方を整理
- 安全標識のJIS Z 9101準拠の多言語化とピクトグラム活用の具体的な進め方
- KY活動・特別教育・ヒヤリハット報告を外国人材が使えるように整備するステップ
製造業での主な労働災害リスク
製造業は全産業の中でも労働災害が多い分野の一つです。外国人材は日本語でのリスク情報を十分に受け取れないことがあり、入社直後・配属転換直後に事故が集中する傾向があります。以下は製造業で特に発生しやすい災害タイプです。
| 災害タイプ | 主な発生場面 | 多言語対応のポイント |
|---|---|---|
| 機械への挟まれ・巻き込まれ | プレス機・コンベア・旋盤等の操作中 | 始業前点検・ロックアウト手順を図解化 |
| 切傷・刺傷 | 刃物・バリ・金属端面の接触 | 保護手袋の着用ルールを母国語で明示 |
| 転倒・墜落 | 床の油・段差・はしご昇降 | 通路確保・履物ルールのピクトグラム掲示 |
| 熱傷・火傷 | 溶接・鋳造・熱処理工程 | 高温エリアの色分けと接近禁止標識の多言語化 |
| 化学物質への曝露 | 塗装・洗浄・接着剤使用工程 | SDS(安全データシート)の多言語版の準備 |
POINT|入社直後が最も危険
- 外国人材の労働災害は入社後3か月以内に集中するというデータがあります
- OJT担当者が安全ルールを「当然知っているはず」と省略することが大きな要因です
- 入社時に安全教育の時間を別途設け、理解確認のテストを実施することが重要です
安全標識の多言語化(JIS Z 9101準拠)
JIS Z 9101「安全色及び安全標識」は工場内の安全標識のデザイン基準を定めた規格です。この規格に準拠した絵表示(ピクトグラム)は言語に依存しないため、多言語対応の基盤として活用できます。
多言語化の進め方
まずピクトグラムを主体にした標識に切り替え、補助テキストを複数言語で添える方法が実用的です。愛知県内の大手製造業では、日本語・英語・ベトナム語・ミャンマー語の4言語表記を採用している事例が増えています。
POINT|優先して多言語化すべき標識
- 「立入禁止」「作業中停止禁止」「保護具着用」などの禁止・指示標識
- 非常口・消火器・AEDの位置を示す案内標識
- 化学物質の危険性を示すGHS絵表示(国際統一規格)
- 緊急停止ボタン周辺の操作方法を示す表示
注意|機械翻訳だけに頼らない
- 安全に直結するテキストは必ずネイティブスピーカーによる確認を行ってください
- 機械翻訳のニュアンスのズレが、誤操作につながるリスクがあります
- CSTMでは4言語(日本語・英語・ベトナム語・ミャンマー語)の翻訳レビューをサポートしています
KY活動の多言語化・視覚化
KY(危険予知)活動は、作業前に潜在的な危険を洗い出し、対策を確認する安全管理手法です。日本語での「危険のポイント」の議論は外国人材には難易度が高いため、視覚的なアプローチへの転換が求められます。
フォトKYの導入
作業現場の写真や動画を使い、「ここのどこが危ないか?」を指差しで確認するフォトKY(写真KY)は、言語バリアを大幅に下げる効果があります。写真に矢印や丸印を書き込む形式は、外国人材の参加率向上に実績があります。
多言語KYシートの整備
定型的な危険ポイントと対策を母国語で書いたKYシートを工程ごとに準備します。毎朝の確認がルーティン化すると、外国人材自身が危険に気づく感覚が育ちます。
KYシートの多言語化・安全教育マニュアルの作成をご支援します
CSTMに相談する →特別教育・技能講習の実施方法
労働安全衛生法が定める「特別教育」は、危険・有害業務に就く前に必ず実施しなければならない安全教育です。外国人材であっても免除はなく、理解できる方法で実施することが企業に義務付けられています。
| 区分 | 主な対象業務 | 外国人材への実施上の注意点 |
|---|---|---|
| 特別教育(法第59条3項) | 研削盤・プレス機・アーク溶接・フォークリフト(1t未満)等 | 翻訳テキストまたは通訳の配置が必要。記録は3年保存 |
| 技能講習(法第61条) | フォークリフト(1t以上)・クレーン運転・玉掛け等 | 登録教習機関が実施。外国語対応の教習所を選択することが望ましい |
| 安全衛生教育(法第59条1・2項) | 雇用時・作業内容変更時 | 全外国人材に実施。理解確認テストを添付して記録保存 |
注意|記録の不備は行政指導の対象
- 特別教育の記録(科目・時間・実施者・受講者)は3年間保存が義務です
- 「やった」という口頭説明だけでは記録として認められません
- 外国語で実施した場合は「翻訳資料を使用した」「通訳を配置した」旨を記録に残してください
ヒヤリハット報告の多言語化
ハインリッヒの法則では「1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットがある」とされています。外国人材がヒヤリハットを報告しやすい環境を作ることが、重大事故の防止に直結します。
報告のハードルを下げる工夫
ヒヤリハット報告書を母国語で書ける形式にする、または口頭でラインリーダーに伝えた内容を日本人スタッフが代わりに記入するなど、報告のハードルを下げることが最優先です。「報告して叱られた」という経験をさせないことも重要です。
POINT|ヒヤリハット報告を増やすための仕組み
- 母国語での報告を認め、日本語への翻訳は企業側が担当する
- 報告した人を評価する(報告表彰制度など)文化を作る
- 毎月のヒヤリハット件数を掲示し、「報告が多いことは良いこと」と伝える
- スマートフォンのフォーム(写真添付可)で報告できるようにする
よくあるご質問
Q. 外国人材に安全教育を行う際、日本語能力が低くても大丈夫ですか?
日本語能力が低い段階でも、視覚教材・母国語テキスト・通訳を組み合わせることで理解度を高められます。特別教育は「教育を受けたことを理解できる方法」で実施することが求められており、翻訳資料や図解マニュアルの活用が有効です。CSTMでは4言語対応ホットラインで日常的なフォローも可能です。
Q. 安全標識の多言語化はどの言語を優先すべきですか?
受け入れている外国人材の母国語を最優先にしてください。愛知・東海エリアではベトナム語・ミャンマー語・インドネシア語のニーズが高い傾向です。JIS Z 9101に準拠した絵表示(ピクトグラム)を組み合わせると、言語に依存しない伝達が可能になります。
Q. KY活動(危険予知)は外国人材には難しいのでは?
KY活動は日本語の「危険」という言葉のニュアンスが難しいため、絵を使ったKYシートや、写真で危険箇所を示すフォトKYが効果的です。母国語での危険箇所リストアップを認めるだけでも参加度が大きく上がります。
Q. ヒヤリハット報告書は外国語で提出してもよいですか?
外国語でのヒヤリハット報告を受け付け、企業側で翻訳・共有する運用が安全確保の観点から推奨されます。報告数が増えることで潜在的な事故を防ぐ効果があります。報告のハードルを下げることが最優先です。
Q. 特別教育の修了証は外国語で発行できますか?
修了証自体は日本語で発行されますが、本人への説明は母国語で行い、内容理解を確認した記録を別途残すことが重要です。教育の実施記録は3年間の保存義務があります。
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監理支援機関+登録支援機関の両保有 / ミャンマー名誉領事館認定 / 4言語対応ホットライン
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