この記事でわかること
- 外国人材に対するハラスメントの類型(パワハラ・差別的発言・出身国差別等)
- 労働施策総合推進法のパワハラ防止措置義務と外国人材への適用
- 多言語での相談窓口設置の義務と実践的な方法
- 外国人材向けハラスメント研修の実施方法
- 育成就労での特定行為の禁止(外出制限・強制貯金・旅券保管等)
外国人材に対するハラスメントの類型
外国人材は言語・文化・立場の脆弱性から、ハラスメントの被害を受けやすい状況に置かれることがあります。 企業は以下の類型を正しく理解し、未然防止策を講じる責任があります。
| ハラスメントの類型 | 具体例 | 根拠法令 |
|---|---|---|
| パワーハラスメント | 言語の壁を利用した過剰な叱責・業務の強制・人格否定 | 労働施策総合推進法30条の2 |
| 出身国・民族差別 | 「〇〇人だから仕事ができない」等の発言・処遇の不利益 | 労働基準法3条・不法行為法 |
| 宗教・習慣への嘲笑 | ハラール食や礼拝への差別的発言・妨害 | 不法行為法・企業の安全配慮義務 |
| 特定行為(育成就労) | 旅券の取上げ・外出制限・強制貯金 | 育成就労法・人身売買防止法 |
| セクシャルハラスメント | 性的な発言・行為(外国人材の脆弱な立場を利用した場合は特に悪質) | 男女雇用機会均等法11条 |
パワハラ防止措置義務(労働施策総合推進法)
2020年6月(中小企業は2022年4月)から、すべての事業主はパワーハラスメント防止のための措置を講じることが義務となっています。 外国人材を雇用する企業も、この義務から免除されません。
POINT|事業主が講じるべき措置(4項目)
- ①方針の明確化と周知啓発:ハラスメントを許容しない方針を就業規則等に明示し、全労働者へ周知(外国人材には多言語で説明)
- ②相談窓口の整備:外国人材が利用できる多言語の相談窓口を設置し、利用方法を周知
- ③迅速・適切な対応:申告があった場合の調査・被害者保護・行為者への対処の手順を整備
- ④プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止:相談・申告したことを理由とした不利益取扱いの禁止を明示
多言語での相談窓口設置
外国人材がハラスメント被害を相談できる窓口を整備することは、 パワハラ防止措置義務の履行要件でもあります。 しかし、日本語のみの相談窓口では外国人材が実質的に利用できないため、 多言語対応が求められます。
多言語相談窓口の整備方法
- 社内担当者+通訳配置:ハラスメント相談担当者を指定し、必要に応じて通訳(電話・オンライン)を介して対応
- 登録支援機関のホットライン活用:CSTMキャリアサポート等の登録支援機関が提供する多言語ホットラインを活用
- 行政の相談窓口との連携:厚生労働省の「外国人労働者の労働相談」窓口(多言語対応あり)を案内資料に掲載
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CSTMキャリアサポートでは、ハラスメント防止研修の多言語実施から相談窓口の設置支援まで対応します。
ハラスメント研修の外国人材向け実施方法
ハラスメント研修は、日本人従業員向けと外国人材向けに内容を適切に調整することが重要です。 外国人材に対しては「何がハラスメントに当たるか」を明確に示し、 被害を受けた場合の対応を具体的に伝えることが求められます。
POINT|外国人材向けハラスメント研修のポイント
- 母国語または理解できる言語でのテキスト・資料を準備する
- ハラスメントの具体例をシナリオ形式で示す(文化的背景の違いを考慮)
- 「相談することは弱さではなく権利」であることを明確に伝える
- 相談窓口の連絡先・方法を紙に印刷して配布・掲示する
- 報復・不利益取扱いのないことを明示する
育成就労での特定行為の禁止
育成就労制度では、受入企業・監理支援機関等が外国人材に対して行ってはならない「特定行為」が法定されています。 これらは人権侵害・強制労働に当たる可能性があり、厳格に禁止されています。
注意|育成就労における禁止された特定行為
- 旅券(パスポート)・在留カードの取上げ・保管
- 外出・通信・交友関係の不当な制限(「寮から出てはいけない」等)
- 強制貯金(給与の一部を本人の意思に反して留保・管理する行為)
- 暴行・脅迫・監禁等による身体・行動の拘束
- 違約金・損害賠償予定の契約(「辞めたら罰金を払え」等)
これらの行為が発覚した場合、受入企業の育成就労計画の取消し・許可の取消しに加え、 刑事事件(監禁罪・強制労働罪等)として立件される可能性もあります。 企業全体でこれらの行為を絶対に行わないよう、管理職・現場リーダーへの徹底した教育が求められます。
よくあるご質問
Q. 外国人材への差別的発言はどのような法律に違反しますか?
外国人材の出身国・民族・宗教等を理由とした差別的発言は、①労働基準法3条(国籍・信条等による差別的取扱いの禁止)、②労働施策総合推進法30条の2(パワーハラスメント防止措置義務)、③不法行為(民法709条)による損害賠償責任の対象となり得ます。また、「ヘイトスピーチ解消法」の理念にも反します。企業は方針の明確化・研修の実施等の防止措置を講じる義務があります。
Q. パワハラ防止措置は外国人材にも適用されますか?
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づくパワハラ防止措置義務は、雇用する全労働者(外国人材を含む)を対象としており、使用者は①方針の明確化と周知啓発、②相談窓口の整備、③事後の迅速・適切な対応、④プライバシーの保護と不利益取扱いの禁止などの措置を講じなければなりません。これらの措置は外国人材が理解できる言語で実施することが実質的に求められます。
Q. 育成就労で禁止されている「特定行為」とはどのようなものですか?
育成就労制度において、監理支援機関・受入企業等が外国人材に対して行ってはならない「特定行為」として、①外出・通信・交友関係の不当な制限、②旅券・在留カードの保管・取上げ、③強制貯金・通帳の管理、④暴行・脅迫・監禁等による人身の拘束が定められています。これらは人身売買・強制労働に当たる可能性があり、行政処分・刑事罰の対象となります。
Q. 外国人材向けのハラスメント研修はどのように実施すればよいですか?
外国人材向けのハラスメント研修は、①多言語での資料提供(または通訳を介した説明)、②日本のハラスメント概念と母国の文化との違いの説明、③相談窓口の周知と相談方法の実演(ロールプレイ等)、④被害を受けた場合の対応手順の説明が有効です。特に「ハラスメントは業務命令ではない」「相談することは本人の権利」という点を強調することが重要です。入社時オリエンテーションに組み込むことが推奨されます。
Q. 外国人材がハラスメントを受けた場合、企業はどのように対応すべきですか?
外国人材からハラスメントの申告があった場合、①事実確認(被害者・行為者・目撃者への聴取)、②被害者の安全確保(行為者からの物理的分離等)、③行為者への適切な処分(懲戒規定に基づく)、④再発防止措置の実施、⑤被害者への経過報告、の手順で対応します。外国人材の場合は、言語の壁から事実確認の際に通訳者(当事者以外の中立的な人物)を介することが重要です。監理支援機関・登録支援機関へも速やかに報告してください。
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監理支援機関+登録支援機関の両保有 / ミャンマー名誉領事館認定 / 4言語対応ホットライン
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