この記事の結論
- 育成就労の受入企業はハラスメント防止・相談窓口・内部監査の体制を整備することが求められます。
- 相談窓口は多言語対応・外部委託も可。外国人材が実際に使える仕組みにすることが重要です。
- 内部監査はPDCAサイクルで継続することで、監理支援機関の外部監査への対応力も高まります。
受入企業が整備すべき体制の全体像
育成就労(2027年4月1日施行)では、外国人材の権利保護と適正な育成が受入企業の義務として明確化されます。技能実習制度での問題(人権侵害・賃金不払い・強制労働等)を繰り返さないため、以下の体制の整備が求められます。
| 体制の要素 | 概要 | 整備の優先度 |
|---|---|---|
| ハラスメント防止体制 | パワハラ・セクハラ・外国人差別の防止措置、管理職研修、相談対応手順 | 最優先(法定義務) |
| 多言語相談窓口 | 外国人材が母語で相談できる窓口(内部または外部委託) | 最優先(支援義務) |
| 就業規則・内部規程 | 育成就労に対応した就業規則・外国人材向け説明資料(母語版) | 高(受入前に整備) |
| 記録管理体制 | 面談記録・支援実施記録・賃金台帳・労働時間記録の保管体制 | 高(監査対応の基盤) |
| 内部監査・自己点検 | 定期的な自己点検・内部監査・外部監査(監理支援機関)への対応体制 | 中(継続的なPDCA) |
| 緊急対応体制 | 労働災害・行方不明・暴力行為等の緊急時対応フロー・連絡体制 | 中(マニュアル整備) |
ハラスメント防止措置の義務範囲
2020年改正の労働施策総合推進法(パワハラ防止法)により、全ての事業者にハラスメント防止措置が義務づけられています。育成就労外国人は言語・文化の壁から被害を訴えにくいため、特に丁寧な対応が必要です。
義務づけられている措置(パワーハラスメント)
- 会社としてパワハラを許さないという方針の明確化・周知・啓発
- 行為者への厳正な対処方針・対処内容の就業規則等への規定
- 被害者への相談に応じ、適切に対応するための必要な体制の整備
- 事案発生後の迅速・適切な対応(事実確認・被害者への配慮措置・再発防止)
- 相談者・行為者等のプライバシー保護と不利益取扱い禁止の周知
外国人材特有のハラスメントリスク
- 「外国人だから仕方ない」という差別的言動・処遇
- 言語の壁を利用した情報隠蔽・不当な指示
- 在留資格を「道具」にした服従強要(「文句を言ったら帰国させる」等)
- 残業代不払い・休日出勤強制(弱い立場を利用した搾取)
- 宗教的信条・食事制限への無理解・強制
注意|在留資格を使った脅しは刑事事件になりえる
- 「帰国させる」「在留資格を取り消す」という脅しを使って労働を強制する行為は、強制労働罪・人身売買等の重大犯罪に該当する可能性があります。
- 監理支援機関の監査で発覚した場合、受入許可の取消し・刑事告発の対象になります。
- 管理職・現場リーダーへのハラスメント研修で、このようなリスクを明確に周知してください。
相談窓口の設置方法(多言語・外部委託)
外国人材が実際に利用できる相談窓口の設計が重要です。「窓口があるが誰も使わない」「日本語でしか話せないから相談をあきらめた」という状況を防ぐために、以下のポイントを押さえてください。
相談窓口設計の要件
- 多言語対応:外国人材の母語(ミャンマー語・タイ語・ベトナム語・インドネシア語等)での相談対応
- 匿名相談可能:実名を明かさずに相談できる仕組み(報復を恐れて相談を躊躇するケースが多い)
- 24時間対応またはアクセスしやすい時間帯:労働時間外・夜間の相談ニーズに対応
- 第三者機関の活用:会社への不満・上司への苦情は社内窓口では話しにくいため、外部機関(監理支援機関・社労士等)への委託が有効
- 相談内容の秘密保持:相談した事実が上司・同僚に漏れないことの保証
相談窓口の設置パターン
| 設置形態 | 特徴 | 向いている企業規模 |
|---|---|---|
| 自社内(人事・総務担当) | 対応が速い。しかし多言語対応・秘密保持に限界がある場合も。 | 大企業(多言語人材がいる場合) |
| 監理支援機関に委託 | 専門性・多言語対応・秘密保持が高い。育成就労の制度知識も豊富。 | 中小企業全般 |
| 外部相談機関(法テラス等)の案内 | 法的問題・深刻なトラブルは外部機関への案内が重要。窓口の「出口」として機能。 | 全企業で案内が必要 |
内部規程の整備ポイント
育成就労外国人の受入れに対応した内部規程の整備が必要です。既存の就業規則に外国人材の特性に配慮した条項を追加・修正することが基本になります。
整備・確認が必要な主な規程
- 就業規則:外国人材が遵守すべきルール・不利益変更がないかの確認・母語翻訳版の用意
- ハラスメント防止規程:定義・禁止行為・相談手順・調査手順・懲戒処分基準を明記
- 賃金規程:基本給・残業代・各種手当の計算方法・控除の根拠を明示
- 住居管理規程(社宅提供の場合):家賃・管理費の根拠・入退居手続き・ルールを明記
- 緊急対応マニュアル:労働災害・行方不明・傷病時の対応フロー・連絡先
- プライバシー・個人情報管理規程:外国人材の在留資格・家族情報等の管理ルール
POINT|「ひな形流用」のリスク
- インターネットで見つけたひな形をそのまま使用すると、育成就労制度の特有の要件(転籍・日本語教育・費用負担等)が抜け落ちる場合があります。
- 規程の整備は、育成就労制度に詳しい社会保険労務士・監理支援機関のレビューを受けることを推奨します。
内部監査のPDCA
監理支援機関による外部監査(年1回以上の実地監査)に備えるだけでなく、受入企業が自主的に内部監査・自己点検を行うことが法令遵守体制の維持に有効です。
内部監査のPDCAサイクル
- Plan(計画):年間監査スケジュールの策定、チェック項目リストの作成(賃金・労働時間・住居・支援実施記録等)
- Do(実施):半期または年1回の自己点検(書類確認・現場確認・外国人材へのヒアリング)
- Check(評価):点検結果の整理・問題点の洗い出し・前回からの改善状況の確認
- Act(改善):問題点への対応策実施・規程・手続きの見直し・次回監査への反映
内部監査チェックリスト(主要項目)
- 育成就労計画と実際の業務内容・賃金・労働時間が一致しているか
- 定期面談を3ヶ月ごとに実施し、記録を保管しているか
- 入国後講習の記録(実施日時・内容・出席者)が保管されているか
- ハラスメント相談窓口を外国人材に周知しているか
- 社会保険・労働保険の加入が適正か
- 住居の状況(面積・設備)が法定基準を満たしているか
- 日本語学習・技能評価試験の受験計画が進んでいるか
法令遵守体制の整備、CSTMにご相談ください。 ハラスメント防止規程・相談窓口・内部監査チェックリストの整備を支援します。
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Q. ハラスメント防止措置は育成就労外国人にも適用されますか?
はい。パワーハラスメント・セクシャルハラスメント防止措置は、国籍・在留資格を問わず全ての労働者に適用されます。外国人材に対するハラスメントは、言語・文化の違いを悪用したものになりやすく、特に注意が必要です。管理職向けのハラスメント防止研修を多言語素材で補足することが推奨されます。
Q. 相談窓口は自社内に設置しなければなりませんか?
相談窓口は自社内設置が理想ですが、外部機関(監理支援機関・登録支援機関・弁護士事務所・社会保険労務士等)への委託も認められます。ただし、外国人材が実際に利用できるよう、多言語対応・24時間対応・匿名相談可能などの条件を整えることが重要です。
Q. 内部監査は毎年実施しなければなりませんか?
育成就労法では受入企業の自主的な法令遵守が求められますが、内部監査の頻度は法律で明示されているわけではありません。監理支援機関による定期監査(年1回以上)を補完する形で、受入企業が自主的に半期または年1回の内部監査を実施することが推奨されます。
Q. 就業規則を外国語に翻訳する義務はありますか?
就業規則の外国語翻訳は法的に義務づけられていませんが、育成就労では外国人材が就業規則の内容を理解していることを確認する義務があります。実質的には母語翻訳版の交付・説明が不可欠です。翻訳版と日本語原本の間で内容に齟齬がないよう注意してください。
Q. CSTMは法令遵守体制の整備をサポートしてくれますか?
はい。CSTMは監理支援機関として、受入企業の法令遵守体制の整備をサポートします。ハラスメント防止規程のひな形提供・相談窓口の多言語対応・内部監査チェックリストの作成支援などを提供しています。初回相談は無料です。
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監理支援機関+登録支援機関の両保有 / ミャンマー名誉領事館認定 / 4言語対応ホットライン
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