この記事のポイント
- 技人国・特定技能・育成就労・技能・介護など主要就労ビザを一覧比較
- 各ビザの要件(学歴・試験・業務内容)・在留期間・転職可否の違いを解説
- 企業規模・業種・採用ポジション別の最適な就労ビザ選択の考え方
- 就労ビザの更新・変更手続きの基本フロー
就労ビザとは|在留資格と就労許可の関係
「就労ビザ」とは、就労活動が認められた在留資格の通称です。厳密には「ビザ(査証)」は入国のための許可証であり、「在留資格」は入国後の滞在・活動の根拠となる制度です。実務上は「就労ビザ=就労を認める在留資格」として使われることがほとんどですが、この2つは法的に異なる概念である点を押さえておきましょう。
企業が外国人を雇用する際は、その人が持つ在留資格が「どのような業務を、どの条件下で認めているか」を正確に把握する必要があります。在留資格の種類を誤って認識したまま就労させると、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
主な就労ビザの種類と比較表
日本に在留する外国人が就労できる在留資格は複数あり、業種・職種・経歴によって使い分けが必要です。以下の比較表で主要な就労ビザの特徴を整理します。
| 在留資格 | 主な要件 | 対象業務 | 在留期間 | 転職 |
|---|---|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 大卒/専門卒+業務関連性 | IT・通訳・貿易・デザイン等 | 1〜5年 | 可(変更要) |
| 特定技能1号 | 技能試験+日本語試験 | 製造・建設・農業・介護等12分野 | 通算5年 | 可(同分野) |
| 特定技能2号 | 2号技能試験 | 建設・造船等限定分野 | 制限なし | 可 |
| 育成就労 | 送り出し機関経由・年齢条件等 | 特定産業分野の現場業務 | 最大3年 | 条件付き可 |
| 技能 | 10年以上の実務経験等 | 外国料理・スポーツ指導等 | 1〜5年 | 可(変更要) |
| 介護 | 介護福祉士資格 | 介護サービス | 1〜5年 | 可(変更要) |
| 企業内転勤 | 1年以上の勤務経験 | 専門職(転勤者のみ) | 1〜5年 | 原則不可 |
| 高度専門職 | ポイント制(70点以上) | 高度専門・学術・経営分野 | 5年(2号は無期) | 可 |
技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザ
技人国ビザは、専門的な知識・技術を活かして就労する外国人に付与される最も一般的な就労ビザです。製造現場や単純作業には使えませんが、事務職・技術職・通訳・デザインなど幅広い業種で活用できます。
POINT|技人国ビザが向いている採用シーン
- 多言語対応が必要な営業・カスタマーサポート職
- システムエンジニアやプログラマーなどIT職種
- 輸出入・貿易実務担当者
- 通訳・翻訳を兼ねる事務職
特定技能ビザ(1号・2号)
特定技能は2019年に創設された制度で、人手不足が深刻な現場業務での即戦力確保を目的としています。1号は12の特定産業分野で通算5年間就労可能で、2号は一定分野でさらに長期の就労と家族帯同が認められます。
1号の取得には「特定技能評価試験(技能試験)」と「日本語能力試験(N4相当)」の合格が必要です。ただし、技能実習2号・育成就労修了者は試験免除となる場合があるため、移行パスとして活用できます。
育成就労ビザ
2024年の入管法改正で技能実習に代わって創設された在留資格です。2027年の完全施行に向けて準備が進んでおり、最大3年間の就労を通じて特定技能への移行を目指すキャリアパスが設計されています。
注意|育成就労で変わる転籍制度
- 技能実習では原則不可だった転籍が、育成就労では条件付きで認められる
- 1年経過後に同一業務区分内での転籍が可能となる(段階的緩和)
- 企業は早期定着のための支援体制強化が必要
業種・企業規模別の就労ビザ選択の考え方
どの就労ビザを選ぶかは、採用する業種・職種・企業の規模・採用目的によって変わります。専門職の即戦力なら技人国ビザ、製造・農業・介護などの現場人材なら特定技能や育成就労が有力候補となります。
中小製造業や農業法人の場合、育成就労からスタートして特定技能1号へ移行させる「育成→特定技能」のキャリアパスを設計するのが現実的です。採用コストと定着期間のバランスを考慮したうえで、自社の状況に合った資格を選択することが重要です。
POINT|採用シーン別の就労ビザ選択目安
- 製造・食品加工・農業の現場業務 → 特定技能1号または育成就労
- IT・通訳・貿易事務・営業 → 技術・人文知識・国際業務
- 介護施設での介護業務 → 特定技能「介護」または介護ビザ
- 外国料理レストランの料理人 → 技能ビザ
- 長期・高度専門人材 → 高度専門職または特定技能2号
よくあるご質問
Q. 技人国と特定技能はどう使い分けますか?
技人国はITエンジニアや通訳・貿易事務など、大学・専門学校卒の専門知識を活かした職種に使います。特定技能は製造・建設・農業・介護などの現場業務に使い、学歴ではなく試験合格が要件です。業種・職種の性質に合わせて選択してください。
Q. 特定技能1号から2号へ移行するにはどうすればよいですか?
特定技能2号の対象分野での就労経験を積み、所定の技能試験(2号レベル)に合格することで移行できます。2号は日本語試験が原則不要で、在留期限の上限がなく家族帯同も可能なため、長期的な人材確保につながります。
Q. 育成就労と技能実習は何が違いますか?
技能実習は「技能移転」を目的とした制度でしたが、育成就労は「人材育成・就労」を正面から認める制度です。転籍制度が大幅に緩和され、一定期間経過後は本人の意思で職場を変えることができます。企業にとっては定着支援の重要性が増します。
Q. 企業内転勤ビザはどんな場合に使いますか?
海外の本社・関連会社から日本の事業所へ転勤する外国人幹部・専門職社員に使います。1年以上の勤務経験が必要で、日本での業務が技術・人文知識・国際業務の範囲内であることが条件です。グローバル企業での活用が中心です。
Q. 就労ビザの更新を会社が代わりに申請できますか?
在留資格の申請は本人が行うのが原則ですが、弁護士・行政書士への委任や、申請取次資格を持つ担当者が代理申請を行うことができます。企業が申請代行サービスを利用して社員の更新手続きをサポートするケースも多いです。
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