この記事のポイント
- 毎年の最低賃金引き上げトレンドと愛知県・全国平均の水準を確認
- 外国人採用コスト(特に人件費)への直接的な影響を試算
- 特定技能の「同等報酬要件」と最低賃金引き上げの関係を整理
- 賃金管理の整備と生産性向上による吸収策を具体的に提示
最低賃金の引き上げトレンド
日本の最低賃金は毎年10月に改定されており、近年は継続的な引き上げが続いています。政府の「1000円超え目標」を達成した後も、物価上昇・賃金上昇の機運を背景にさらなる引き上げが続いており、2025年時点で全国加重平均は1,000円台半ばに達しています。
愛知県は全国の中でも最低賃金の水準が高い都道府県のひとつです。東京・神奈川に次ぐ水準を維持しており、製造業・物流業・食品加工業が多い愛知県の企業にとって、最低賃金の引き上げは人件費の直接的な上昇圧力となっています。
| 年 | 全国加重平均(円) | 愛知県(円) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 961 | 986 | +31円 |
| 2023年 | 1,004 | 1,027 | +41円 |
| 2024年 | 1,055 | 1,077 | +50円 |
| 2025年 | (参考:1,100前後) | (参考:1,120前後) | (引き続き上昇傾向) |
外国人採用コストへの直接影響
最低賃金の引き上げは、外国人労働者の人件費に直接・即時に影響します。特に技能実習・育成就労・特定技能で受け入れる外国人の多くが、最低賃金水準またはその近辺の時給で雇用されているため、最低賃金が引き上げられると自動的に給与を引き上げる義務が生じます。
具体的な試算例として、月160時間労働の外国人を1名受け入れている場合、最低賃金が50円引き上げられると月8,000円(年間96,000円)の人件費増となります。10名受け入れているなら年間約96万円の増加です。これに社会保険料の事業主負担分(約15%)が加わると、実質的な負担増はさらに大きくなります。
POINT|最低賃金50円引き上げの試算(月160時間・1名)
- 時給単価の増加:50円
- 月額人件費の増加:約8,000円
- 年間人件費の増加:約96,000円
- 社会保険料事業主負担(約15%)込み:年間約11万円
- 10名受入れの場合:年間約110万円の負担増
特定技能の「同等報酬要件」と最低賃金
特定技能の受入れには「同等報酬要件」があり、外国人に日本人と同等以上の報酬を支払うことが義務付けられています。この要件は、最低賃金を下回ってはならないことはもちろん、同じ業務を行う日本人従業員と同等以上の賃金水準を保証するものです。
最低賃金が引き上げられると、最低賃金に連動していた外国人の賃金も引き上げる必要があります。さらに、日本人従業員の賃金も最低賃金改定に応じて見直しが行われた場合、外国人との比較賃金水準を改めて確認・調整する必要が生じます。定期的な賃金比較の実施と、その記録の保存が企業に求められます。
注意|同等報酬要件のチェックポイント
- 最低賃金改定のたびに外国人の時給・月給が最低賃金を上回っているか確認
- 同一業務の日本人従業員の賃金と比較し、外国人が同等以上であることを記録
- 日本人従業員が不在の場合は、同種業務の地域相場との比較方法を整備
- 給与明細・雇用契約書・賃金台帳を3年以上保存
賃金管理システムの整備
外国人労働者の賃金管理を適切に行うためには、①最低賃金の改定を確実に把握する仕組み、②改定後の給与計算への反映漏れを防ぐ仕組み、③同等報酬要件の確認と記録保存の仕組みが必要です。
中小企業では給与計算ソフトを使っているケースが多いですが、最低賃金の改定情報が自動反映されないソフトも存在します。毎年10月の改定前に担当者が必ず確認し、給与計算システムに新しい最低賃金額を入力する運用ルールを設けましょう。また、外国人ごとの賃金履歴・同等報酬の比較記録を管理台帳に残し、入管の調査・指導に対応できる体制を整えることが重要です。
生産性向上で吸収する方法
最低賃金の引き上げによる人件費上昇を単純に利益圧迫として捉えるのではなく、生産性向上の契機として捉える視点も重要です。自動化・省力化設備の導入、業務フローの見直し、多能工化の推進などにより、1人あたりの付加価値を高めることで人件費上昇を吸収できます。
また、業務改善助成金(厚生労働省)は、最低賃金の引き上げを契機として設備投資を行う事業者を対象とした助成制度です。生産性向上につながる設備・システムの導入費用の一部を助成しており、外国人労働者を雇用する中小企業も積極的に活用できます。申請要件・助成額の上限は毎年変わるため、最新情報を確認のうえ活用してください。
よくあるご質問
Q. 外国人労働者にも最低賃金が適用されますか?
はい、最低賃金法は国籍を問わず日本で就労するすべての労働者に適用されます。外国人であっても日本人と同様に、就業地の最低賃金額以上の時間給を支払わなければなりません。違反した場合は企業に罰則が科せられます。
Q. 特定技能の同等報酬要件と最低賃金の関係は?
特定技能の「同等報酬要件」は、外国人に日本人と同等以上の報酬を支払うことを義務付けています。最低賃金は同等報酬要件の「下限」となりますが、同一業務の日本人がより高い賃金を得ている場合はそれ以上の支払いが必要です。最低賃金の引き上げは同等報酬の水準も連動して引き上げる効果があります。
Q. 愛知県の最低賃金は全国で何位ですか?
愛知県の最低賃金は全国でも上位(東京・神奈川に次いで3〜5位程度)を維持しています。2025年10月改定の愛知県最低賃金は1,077円であり、製造業や物流業での人件費負担は全国平均より高い水準となっています。
Q. 最低賃金引き上げを吸収するための方法は?
主な方法として、①生産性向上(設備投資・デジタル化による工程改善)、②業務の絞り込みと効率化、③助成金の活用(業務改善助成金・キャリアアップ助成金など)、④価格転嫁(取引先との交渉)が挙げられます。外国人採用の文脈では、長期定着による採用コストの削減も有効な手段です。
Q. 最低賃金が上がると外国人採用のコストはどう変わりますか?
直接的には人件費(賃金)が上昇します。外国人採用の場合、送出機関への手数料・渡航費・住居確保費用などの初期費用は変わりませんが、月々の給与コストが最低賃金の引き上げ分だけ増加します。3年間で月数万円のコスト増となる計算も多く、採用計画の際に織り込んでおく必要があります。
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監理支援機関+登録支援機関の両保有 / ミャンマー名誉領事館認定 / 4言語対応ホットライン
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