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Guide / 社保・税務

日本の租税条約と外国人従業員への適用ガイド

この記事のポイント

  • 租税条約は二重課税防止を目的とし、日本は100以上の国・地域と締結
  • 主要国(米国・中国・韓国・ドイツ等)別の適用概要を解説
  • 短期滞在者免税(183日ルール)の3要件と適用手続き
  • 条約適用には「租税条約に関する届出書」の税務署提出が必要

公開日:2026年6月7日 / カテゴリ:社保・税務 / 対象:外国人採用担当者

この記事のポイント

  • 租税条約は二重課税防止を目的とし、日本は100以上の国・地域と締結
  • 主要国(米国・中国・韓国・ドイツ等)別の適用概要を解説
  • 短期滞在者免税(183日ルール)の3要件と適用手続き
  • 条約適用には「租税条約に関する届出書」の税務署提出が必要

租税条約の目的と日本の締結状況

租税条約とは、二国間で締結する国際条約であり、同一の所得や財産に対して両国が課税することによる「二重課税」を防止するとともに、脱税・課税回避を防ぐための国際的な税務協力の枠組みを定めるものです。日本は現在100以上の国・地域と租税条約(経済連携協定に含まれる租税規定を含む)を締結しており、主要な貿易相手国・外国人送出国との間に条約があります。

外国人従業員の給与課税に関して租税条約が影響するのは主に以下のシーンです。短期赴任者・出向者の課税免除(短期滞在者免税)、国内源泉所得に適用される源泉徴収税率の軽減、帰国後の二重課税の防止などが挙げられます。外国人従業員を雇用する企業の担当者として、主要国との条約の概要を把握しておくことが重要です。

主要国別の税率・免除規定の概要

各国との租税条約の内容は異なりますが、主要国との条約における給与課税に関する代表的な規定を以下に示します。なお、条約の細部については必ず最新の条約本文を確認してください。

締結国短期滞在者免税の基準主な特徴
アメリカ183日(暦年)広範な条約で配当・利子・使用料等の軽減規定あり
中国183日(暦年)2022年改正条約発効、源泉徴収税率の軽減規定
韓国183日(会計年度)社会保障協定も別途締結(年金の二重加入防止)
ドイツ183日(暦年)社会保障協定も締結、EU基準に準拠した広範な条約
ベトナム183日(暦年)2000年発効、配当・利子に源泉徴収税率制限あり
フィリピン183日(暦年)社会保障協定も別途締結
インド183日(会計年度)IT業界の外国人に関連するケースが多い

短期滞在者免税(183日ルール)の適用方法

「短期滞在者免税」は、外国人従業員が日本に短期間だけ滞在して就労する場合に、日本での給与課税が免除される規定です。多くの租税条約に含まれており、以下の3つの要件をすべて満たす場合に適用されます。

  • その課税年度(通常は暦年)において、日本に滞在する日数の合計が183日以下であること
  • 給与が日本国外の居住者(外国法人等)から支払われていること(日本法人から支払われていないこと)
  • 給与が日本国内に有する恒久的施設(PE)によって負担されていないこと

この免税を適用するためには、給与の支払者または受取人が「租税条約に関する届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。未届けのまま免税適用として源泉徴収を行わないことは違法となります。

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条約適用の手続き(届出書の提出)

租税条約の恩恵を受けるためには、原則として「租税条約に関する届出書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。届出書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます(各国との条約ごとに様式が異なる場合があります)。

提出のタイミングは、源泉徴収される給与等の支払いを受ける前(または支払いの都度)が原則です。遅れて届出をした場合は、さかのぼって適用できない場合があります。企業側の担当者は、外国人従業員の国籍・在留状況・雇用形態(国内法人からの雇用か、外国法人からの出向か等)を確認し、租税条約の適用可否と手続きを検討することが求められます。

POINT|租税条約が適用されない主な国・地域

  • ミャンマー(日本との租税条約なし)
  • カンボジア(日本との租税条約なし)
  • ネパール(日本との租税条約なし)
  • 上記の国の外国人従業員には国内法の源泉徴収税率が適用される

外国税額控除との関係

租税条約によっても二重課税が完全に解消されない場合や、条約が締結されていない国との関係では、外国税額控除の制度を活用することができます。居住者として日本で全世界所得課税を受ける外国人従業員が、海外でも同一の所得に対して課税された場合、確定申告において外国で納付した税額を日本の税額から一定の上限まで控除できます。

外国税額控除の計算は複雑であるため、海外所得がある外国人従業員については確定申告の際に税理士のサポートを受けることを推奨します。企業の担当者としては、外国人従業員が二重課税に悩んでいる場合に適切な情報提供と専門家への紹介を行うことが重要です。

よくあるご質問

Q. 租税条約とはどのような制度ですか?

租税条約とは、二国間で締結する条約であり、同一の所得に対して両国が課税することによる二重課税を防止するための規定を定めています。また脱税防止のための情報交換規定も含まれます。日本は100以上の国・地域と租税条約を締結しています。

Q. 短期滞在者免税(183日ルール)とはどのような規定ですか?

短期滞在者免税は、日本での滞在期間が一定期間(通常183日)以下の場合、一定条件のもとで日本での給与課税が免除される規定です。ただし、日本の法人によって給与が負担されている場合などは適用されません。租税条約の内容によって細部は異なります。

Q. 租税条約を適用するにはどのような手続きが必要ですか?

租税条約の適用を受けるためには、「租税条約に関する届出書」を所轄の税務署に提出する必要があります。給与の支払者(会社)が支払いの都度源泉徴収した上で届出をするか、事前に届出をして軽減後の税率で源泉徴収する方法があります。

Q. ミャンマーやベトナムの外国人従業員には租税条約は適用されますか?

ミャンマーとの間には租税条約が締結されていないため、ミャンマー国籍の外国人従業員には租税条約は適用されません。ベトナムとは租税条約(2000年発効)が締結されており、一定の軽減規定が適用される場合があります。詳細は最新の条約内容をご確認ください。

Q. 外国税額控除と租税条約の関係はどうなりますか?

租税条約によって二重課税が完全には解消されない場合や、条約がない国との取引では、外国税額控除の制度を活用することができます。居住者である外国人従業員が海外でも課税された所得について、日本の所得税額から外国で納付した税額を一定の上限まで控除できます。

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