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Guide / 労務管理・外国人

外国人労働者の給与計算ガイド
控除・最低賃金・住宅費の取扱い

外国人材の給与計算では、最低賃金の遵守から寮費控除の適法な運用、所得税の居住者判定、 給与明細の多言語化まで、日本人従業員とは異なる考慮点があります。実務担当者向けに解説します。

公開:2026年6月6日

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この記事でわかること

  • 外国人材の給与計算の基本(最低賃金遵守・控除の同意書
  • 寮費・食費の控除ルール(過大控除の禁止・自由意思の確保
  • 所得税の源泉徴収(居住者/非居住者の区分)と適用税率
  • 健康保険・厚生年金の控除の仕組みと給与明細への反映
  • 給与明細の多言語化の実務的な進め方

執筆:CSTMキャリアサポート 採用支援チーム / 最終更新日:2026年6月6日

最低賃金と同等賃金ルール

外国人材への賃金支払いにおける最も基本的な義務は、地域別最低賃金以上の賃金を支払うことです。 最低賃金法は国籍・在留資格を問わずすべての労働者に適用されます。

育成就労・特定技能の在留資格では、これに加えて「同種の業務に従事する日本人労働者と同等以上の報酬」を支払うことが要件とされています。 同等の賃金要件を満たしているかどうかは、審査・監査の際に確認される重要事項です。

在留資格賃金の最低基準確認タイミング
育成就労地域別最低賃金以上+同等日本人比較育成就労計画認定時・定期監査
特定技能1号・2号地域別最低賃金以上+同等日本人比較在留資格申請時・年次届出
技術・人文知識・国際業務地域別最低賃金以上(月18万円以上が目安)在留資格認定・更新申請時
定住者・永住者地域別最低賃金以上特段の在留資格要件なし

寮費・食費の控除ルール

外国人材に社宅(寮)や食事を提供する場合、その費用を給与から控除することができます。 ただし、控除が適法であるためには2つの要件を満たす必要があります。

POINT|給与控除を適法に行うための2要件

  • 労働者の自由意思による書面合意:入国前または入社時に、控除の内容・金額について書面(同意書)を取り交わす。強制や脅迫による合意は無効
  • 過大控除の禁止:控除額は実費相当額以内に限定。相場を大幅に超える額の控除は労働基準法24条(全額払いの原則)違反となる

控除の上限額の目安

控除項目適正な水準の目安注意点
寮費(家賃)近隣の同等物件の相場(月2〜5万円程度)光熱費を含む場合は実費額で算定
食費実際の食材費相当(1食200〜400円程度)食事を提供しない日の控除は不可
日本語教材費等実費額本人の希望・同意が必要

注意|控除後の手取り額の確認

  • 寮費・食費等すべての控除後の「手取り額」が地域別最低賃金を下回ってはならない
  • 育成就労・特定技能では、控除後の手取り額が本人の生活費として十分であるかどうかも審査される
  • 「強制貯金」(給与の一部を本人の意思に反して留保する行為)は厳禁

所得税の源泉徴収(居住者/非居住者)

外国人材への所得税の課税方法は、「居住者」か「非居住者」かによって大きく異なります。 入国直後の区分を誤ると、適用する源泉徴収税率が変わり、後の年末調整・確定申告で問題が生じます。

区分定義課税方法源泉徴収税率
居住者日本に住所あり、または引き続き1年以上居所を有する者全世界所得に課税(超過累進税率)給与所得の源泉徴収税額表による
非居住者居住者に該当しない者国内源泉所得のみに課税20.42%(一律・復興特別所得税含む)

育成就労・特定技能で来日した外国人材の多くは入国後すぐに住民登録を行うため「居住者」に分類されますが、 入国当初の数週間・数ヶ月の取扱いは慎重に確認が必要です。 不明な場合は税理士に相談するか、所轄の税務署へ確認することを推奨します。

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社会保険料の控除

健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険は、法定の根拠に基づいて給与から控除します。 外国人材の場合も控除の仕組みは日本人と同一ですが、保険料の意味を正確に理解していない方が多いため、 入社時に丁寧な説明が必要です。

POINT|社会保険料控除の説明ポイント

  • 健康保険:病気・怪我をした際に医療費の自己負担が3割になる(7割は保険が負担)
  • 厚生年金:老後の年金として受け取れる(帰国する場合は脱退一時金で一部返金)
  • 雇用保険:失業・転職時に失業給付を受けられる
  • 保険料は労使で折半(企業も同額以上を負担)していることを説明する

給与明細の多言語化

外国人材が自分の給与明細を正確に理解できることは、 労務トラブル防止・定着率向上の両面で重要です。 法令上の義務はありませんが、以下の実践的な対応が推奨されます。

多言語化の実践的な方法

  • 給与明細に対訳を付記:「基本給」「時間外手当」「健康保険」などの項目名に英語・ベトナム語・ミャンマー語等の訳語を追加
  • 初回の給与明細説明:初めて給与を受け取る際に、担当者が通訳を通じて各項目を説明
  • 多言語の給与説明資料:給与の構成・控除の意味を説明したA4一枚の資料を作成し、入社オリエンテーションで配布
  • オンラインツールの活用:給与計算ソフトに多言語表示機能がある場合は積極的に活用

よくあるご質問

Q. 外国人材に適用される最低賃金は日本人と同じですか?

はい、最低賃金は国籍・在留資格を問わず同一です。外国人材にも、就労する都道府県の地域別最低賃金(または産業別最低賃金のうち高い方)以上の賃金を支払う義務があります。愛知県の最低賃金(2024年度:1,027円/時間)を下回ると最低賃金法違反となり、50万円以下の罰金の対象です。育成就労・特定技能の場合は、同等業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払う義務もあります。

Q. 寮費を給与から天引きする場合、何に気をつければよいですか?

給与からの寮費・食費控除は、①労働者の自由意思による書面合意(労使協定または個別同意書)と②過大控除の禁止の2点が重要です。控除できる寮費の水準については、労働基準法施行規則に基づき「実費相当額」が原則であり、相場を大幅に上回る控除は労基法24条(全額払いの原則)違反となります。また、控除後の手取り額が最低賃金を下回ってはなりません。

Q. 外国人材の所得税は居住者と非居住者でどう違いますか?

日本に住所を持つ、または引き続き1年以上居所を有する者は「居住者」として通常の所得税(超過累進税率)が課税されます。来日後間もない、または短期滞在の「非居住者」は国内源泉所得に対して20.42%の源泉徴収(復興特別所得税含む)が適用されます。多くの育成就労・特定技能外国人材は入国後すぐに住民登録を行うため居住者扱いとなりますが、確認を怠ると誤った税率を適用するリスクがあります。

Q. 給与明細を外国語で作成する義務はありますか?

法令上、給与明細の外国語作成義務は明示されていません。ただし、育成就労・特定技能の支援計画では「生活オリエンテーション」の一環として給与明細の読み方を多言語で説明することが実質的に求められます。また、控除の根拠が理解できない外国人材は不満を抱きやすく、労務トラブルの原因になります。実務上は、給与明細に日本語と母国語の対訳を付けるか、入国時に給与明細の読み方を丁寧に説明することが強く推奨されます。

Q. 社会保険料は給与から控除してよいですか?その上限はありますか?

健康保険・厚生年金・介護保険・雇用保険の保険料は、法令上の根拠(各保険法)があるため、労働者の個別同意なく給与から控除することが認められています(労働基準法24条の例外)。控除できる金額は「法定の保険料額(標準報酬月額に基づく額)」が上限であり、それを超える控除は違法です。給与明細には保険料の種別と金額を明示し、外国人材が自分の控除内容を理解できるよう説明することが重要です。

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