この記事のポイント
- オーバーステイ(在留期限超過)が企業にもたらす不法就労助長罪のリスク
- 在留資格有効期限の台帳管理と期限前アラート設定の実務方法
- 入社時・更新時のパスポート・在留カード確認手順
- オーバーステイ発見時の企業が取るべき対応フロー
オーバーステイとは|企業が知るべき法的リスク
オーバーステイ(不法在留)とは、在留資格に定められた在留期間を過ぎても日本に留まり続けることです。在留期限が切れた状態での就労は「不法就労」に当たり、外国人本人だけでなく就労させた企業も罰則の対象となります。
問題は、企業が「在留カードを確認した」だけでは不十分な点です。在留カードを確認した時点では有効だったとしても、その後に期限が切れた状態で就労が続いていれば、企業側の管理責任が問われます。採用後の継続的な管理体制こそが、企業を守る唯一の手段です。
注意|オーバーステイの企業リスク
- 不法就労助長罪:3年以下の懲役または300万円以下の罰金(両罰規定あり)
- 「善意だった・知らなかった」は免責にならない
- 企業名公表・行政指導・入管による立ち入り検査のリスク
- 外国人社員の強制退去処分・業務継続への影響
在留期限管理の現状と課題
外国人労働者が増加する中、在留期限の管理を個人任せにしている企業はいまだに多く存在します。「本人から聞いていた期限と実際の期限が違っていた」「更新の申請を忘れていた」という事例は珍しくありません。特に中小企業では人事部門が専任でないケースも多く、管理の仕組み化が急務です。
在留期限の管理方法
在留期限の管理は、台帳への記録とアラート設定が基本です。以下の手順で管理体制を構築してください。
POINT|在留期限管理の実務ステップ
- 全外国人社員の在留資格・在留期限を台帳(Excel・人事システム)に記録する
- 在留期限3か月前・1か月前にメール・カレンダーアラートを設定する
- アラートが発動したら担当者から本人に更新手続きの開始を促す
- 更新申請後は「申請中」シールの貼付を確認する
- 更新完了後は新しい在留カードの期限を台帳に反映させる
入社時の確認手順
外国人を採用する際は、入社日に以下の書類確認を必ず行い、コピーを保管してください。書類確認を証明する記録を残しておくことで、後日問題が生じた際に企業の善意・適正な手続きを示す証拠となります。
| 確認書類 | 確認すべき項目 |
|---|---|
| 在留カード(表面) | 在留資格の種類・在留期限・就労制限の有無 |
| 在留カード(裏面) | 資格外活動許可の有無・許可内容 |
| 在留カードの真偽 | ICチップ読み取り・番号照会(法務省サイト) |
| パスポート | 有効期限・査証(ビザ)の種類・入国日 |
更新時の確認手順
更新時は、在留期限の3か月前から申請が可能です。申請後は「在留期間更新許可申請中」のシールが在留カードに貼付されます。このシールがあれば、在留期限が切れた後も最長2か月間または審査結果が出るまでの間、従前の在留資格で就労を継続できます。シールの存在を確認したうえで就労継続させることが重要です。
オーバーステイを発見した場合の対応
万が一オーバーステイを発見した場合、企業がとるべき対応は以下の通りです。問題の深刻化を防ぐため、速やかに行動することが必要です。
POINT|オーバーステイ発見時の対応フロー
- 第1段階:直ちに就労を停止させる(継続就労は不法就労助長罪に当たる)
- 第2段階:本人に対して入管への自主申告を促す
- 第3段階:企業は弁護士・行政書士などの専門家に相談する
- 第4段階:今後の再発防止のため、管理体制を見直す
よくあるご質問
Q. 在留期限が切れた外国人社員を就労させた場合の罰則は?
「不法就労助長罪」(出入国管理法第73条の2)により、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。法人に対しても同様の罰金刑が適用されます(両罰規定)。また、「知らなかった」は免責にならないため、事前確認の徹底が唯一の防御策です。
Q. 更新申請中でも就労を続けて問題ありませんか?
在留期限満了日前に更新申請を行った場合、申請中であることを示す「申請中」シールが在留カードに貼られます。この状態であれば、従前の在留資格の活動を2か月間または結果が出るまでの間継続できます(出入国管理法第20条第6項)。シールの貼付を確認してから就労を継続させてください。
Q. 在留期限の管理はどのような方法が一般的ですか?
台帳(Excelや人事管理システム)に全外国人社員の在留期限を記録し、期限の3か月前・1か月前にアラートを設定する方法が一般的です。人事担当者が定期的に在留カードを確認する仕組みを作ることで、期限切れを防ぐことができます。
Q. オーバーステイを発見した場合、企業はどう対応すべきですか?
オーバーステイが判明した場合、就労を直ちに停止させ、本人に対して速やかに入管へ自主申告することを促してください。企業が引き続き就労させることは不法就労助長罪に当たります。就労停止後の対応については、行政書士や弁護士などの専門家に相談することを強くお勧めします。
Q. 在留カードが偽造されている可能性はありますか?
あります。在留カードには偽造防止のためのICチップが搭載されており、スマートフォンアプリ(在留カードリーダー等)でICチップを読み取ることで真偽確認ができます。また、法務省のオンラインシステムでカード番号による真偽確認も可能です。不審な点があれば、最寄りの入管に相談してください。
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