この記事のポイント
- 有給休暇の法定付与日数・タイミングは外国人にも日本人と同様に適用される
- 帰省(長期休暇)希望への計画的対応と繁忙期調整のルール設計
- 年5日の有給取得義務の管理方法と帰省取得の算入可否
- 買取り・繰越しのルールと育成就労生への特別配慮のポイント
外国人従業員と有給休暇の基本
日本の労働基準法第39条が規定する年次有給休暇は、国籍に関係なく日本で働くすべての労働者に適用されます。外国人従業員であっても、入社から6ヶ月が経過し、その期間中の全労働日の80%以上出勤した場合に、10日間の有給休暇が付与されます。その後は継続勤務年数に応じて付与日数が増加し、6年6ヶ月以上で上限の20日に達します。
外国人従業員にとって、有給休暇は帰省(母国への一時帰国)を実現する重要な手段でもあります。多くの外国人従業員が年に1〜2回の帰省を強く希望しており、この希望に対して企業がどのように向き合うかが、定着率に大きく影響します。
POINT|有給休暇の法定付与日数
- 入社6ヶ月後:10日
- 1年6ヶ月後:11日
- 2年6ヶ月後:12日
- 3年6ヶ月後:14日
- 4年6ヶ月後:16日
- 5年6ヶ月後:18日
- 6年6ヶ月以上:20日(上限)
帰省希望への企業対応
外国人従業員が帰省を希望する場合、多くは1〜2週間程度の連続休暇が必要になります。航空券の予約や手続きの関係から、希望時期が特定の時期に集中することもあります。この希望に対して企業が頭ごなしに断ることは、離職の引き金になりかねません。一方で、繁忙期に重なる帰省希望は事業運営上の支障になる場合もあります。
実務的な対応策として、①帰省希望を年度初めに計画的に申請させる仕組みを設ける、②繁忙期・閑散期の情報を入社時に共有して繁忙期を避けた帰省計画を立ててもらう、③帰省期間中の欠員補充計画を事前に策定しておく、という3点が効果的です。「帰省できる会社」という実績が、口コミで良い外国人材の獲得にもつながります。
年5日の有給取得義務の管理
2019年の労働基準法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対し、使用者は年5日の有給取得を確保することが義務付けられました。この義務は外国人従業員にも同様に適用されます。管理の方法としては、①各従業員の有給取得状況を一覧で管理するシステムを導入する、②有給残日数・取得日数を定期的に確認し、取得が進んでいない従業員に計画的取得を促す、③会社が時季を指定して取得させる「時季指定義務」を活用する、の3つがあります。
帰省で使用した有給休暇は、年5日の取得義務に算入することができます。外国人従業員が帰省で有給を消化している場合も、取得記録として適切に管理することが法令遵守の観点から重要です。
注意|年5日の有給取得義務違反のリスク
- 年5日の有給取得を確保できなかった場合、1人につき30万円以下の罰金(労基法第120条)
- 外国人従業員も含めた全従業員の取得状況を把握する管理体制が必要
- 有給を「消化させた」形式だけ整えて実際には業務をさせるケースは法律違反
買取り・繰越しのルール
有給休暇は原則として翌年に繰り越すことができ、法定の有給休暇は最大2年間繰り越せます(時効は2年)。例えば10日付与された有給を5日しか使わなかった場合、翌年に5日繰り越されます。会社が法定付与日数を超えて付与している場合(例:20日付与)は、その超過分(法定付与分を超えた部分)については会社の任意で買取りルールを設けることも可能です。
退職時の有給残の買取りについては、法的義務はありませんが、会社側が任意で行うことは可能です。外国人従業員が退職・帰国する際に有給残が多く残っている場合、計画的取得の促進や退職時の買取り制度を設けることで、円満な退職・帰国をサポートできます。
育成就労生への特別配慮
育成就労生は、入国直後から生活基盤の整備(住民票登録・銀行口座開設・各種手続き)で業務外の作業が集中します。この時期に有給を使わざるを得ない場合もあるため、入国後6ヶ月の有給付与前の時期は、会社が特別休暇を設けるか、欠勤扱いを寛大に扱う運用を検討することが定着支援として有効です。また、育成就労の支援計画に基づき、有給取得状況を定期的に確認し、帰省計画についてもサポートすることが期待されています。
よくあるご質問
Q. 外国人従業員にも日本人と同じ有給休暇が付与されますか?
国籍に関係なく、労働基準法の有給休暇規定が適用されます。入社から6ヶ月経過し、全労働日の80%以上出勤した場合に10日の有給休暇が付与されます。その後も継続勤務年数に応じて付与日数が増加します。
Q. 帰省のための2週間休暇を認める義務はありますか?
法的義務はありませんが、外国人従業員の生活環境を考慮した上で、計画的な有給取得の枠組みで対応することが定着支援として有効です。繁忙期を避けた時期に帰省できるよう早めに申請を促すルールを設けることが実務的な解決策です。
Q. 年5日の有給取得義務は外国人も対象ですか?
対象です。年10日以上の有給休暇が付与される従業員全員(外国人を含む)に対し、使用者は年5日の有給取得を義務付ける必要があります。外国人従業員が帰省などで自発的に取得している場合も、5日に算入することができます。
Q. 有給休暇の買取りは合法ですか?
原則として有給休暇の買取りは違法(労働基準法の趣旨に反する)ですが、退職時に残った有給休暇を会社側が任意で買い取ることは違法ではありません。また、法定付与日数を超えた部分の任意付与分についても買取りは可能です。
Q. 育成就労生に特別な配慮は必要ですか?
育成就労生も労働基準法上の有給休暇が付与されます。入国直後は生活基盤の整備で有給を使う機会が増える傾向があるため、帰省計画と合わせた計画的な有給管理が重要です。支援計画の範囲でスケジュール調整をサポートすることも有効です。
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監理支援機関+登録支援機関の両保有 / ミャンマー名誉領事館認定 / 4言語対応ホットライン
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